いまからちょうど4年前、2010年秋に、仙台から車で南下すること1時間ほどの距離にある亘理（荒浜）に、はらこめしを食べに行きました。はらこめしは、出汁で炊いたご飯、味付けした鮭の切り身、そしていくらという組み合わせ。阿武隈川で鮭漁が盛んだった亘理に、古くから伝わる郷土料理です。伊達政宗が所領としたときに、献上したとの記録も残ってるそう。

そのとき食べに行ったお店は、海の真横に立つ観光施設で、温浴施設と飲食店がひとつのビルにまとまった「鳥の海」というところでした。多くのお客さんで賑わっていたのを今でもよく覚えています。建物から海のほうを眺めると、防風林がきれいに整備されていて、その向こうに砂浜。周りに高い建物が全くない地域なので、ビルの「鳥の海」から見る眺めは、景観的にも良い感じの場所でした。

それから約4か月後に、東日本大震災が発生します。地元紙には「鳥の海」の被害状況を伝えるニュースも出ていて、掲載された写真を見ながら衝撃を受けましたが、あれから時間が経ち、最近になって、ようやくこの施設が一部復活したことを知りました。震災から3年。自分もまた亘理に、「鳥の海」に行ってみることにしました。

現地に着くと、2010年秋に訪れたときの風景と一変しているのは明らかでした。海岸線は新しく作られた堤防がずっと続き、現在も新しい堤防の建設、強化工事が延々と行われています。以前あった防風林はすべて津波で流され、いまは何もなく、無機質な堤防があるのみです。

「鳥の海」にも行ってみました。まだ温浴施設のみのオープンで、飲食店は営業再開していなかったので覗くだけ。周囲には建物や防風林がありましたが、それらもすべてなくなり、海のそばにポツンと佇んでいます。

ただ、観光客はそれなりにいるようで、今後、いろいろな整備が進めば、再び活気を取り戻すかもしれません。少し離れた市場には人だかりもあり、また、内陸のほうのはらこ飯のお店はシーズンということもあって活気に満ちていました。

というわけで、自分たちもはらこ飯を食べることに。有名なお店で食べようと軽い気持ちで寄ったら、なんと2時間待ちという、東京では絶対に待たない待ち時間でしたが、今回は頑張って並びましたよ。そうしてありついたはらこ飯は、まさに絶品。ご飯の味付けが絶妙で、とても美味しかったです。

交通の便が良い仙台まではよく行くものの、車を運転しない自分はその先にはなかなか行く機会がないのですが、今回はたまたまタイミングが合って行くことができました。亘理はホッキめしやあなごめしなども有名なのだそう。また機会を見つけて、行ってみたいと思います！