子どもの頃、親がよく食べていた京樽のバッテラ。当時すでに飽食の時代ではあったとはいえ、いまほど食のバリエーションが豊かではなく、また、物流的にも全国津々浦々のうまいモノが東京に集結しているといった時代でもありませんでした。そんな30年ほど前。
そんな時代に、京樽のバッテラは、子どもの自分が食べられる一番身近な鯖寿司でした。親が食べれば、自分も当然食べる機会があり、そうこうしているうちに、気付けばすっかり鯖寿司好きになっていたのです。
そしていま、デパートの催事などに行けば、気軽に、手軽に全国のおいしい鯖寿司に出会うことができます。なんという幸せな時代なのでしょう。大人になった自分は、そうした機会に遭遇すれば、必ず鯖寿司を買う大人になっていました。ほかのお寿司にはない、子どもの頃からの格別な思いを噛みしめながら……というと大袈裟ですが、まあ最近は美味しい鯖寿司が簡単に手には入って嬉しいのです(笑)。
最近食べて良かったのは、この写真の鯖寿司。昆布の部分が少し甘めの、佃煮のような味付けで、これが酢飯と、鯖の脂と相まって素晴らしい味わいを生みだしています。まさに三位一体。鯖を昆布締めにしているのともまた違う、素敵な鯖寿司でした。写真見ていたらまた食べたくなってきましたよ……。お腹空いた。