ブルターニュでミシュラン三つ星に輝いた料理人として知られるオリビエ・ロランジェさんが、パリにあるご自身のスパイス屋さん「エピス・ロランジェ」で海のスパイスを紹介されるということで、お店に出かけてきました。
「スパイスの魔術師」と賞賛されていたロランジェさん調合のスパイスは、カレー粉や唐辛子だけでなく、多種多様の胡椒やバニラなども置いてあり、プロ仕様のお店といってもよいかもしれません。
海のスパイスとして紹介されていたのはコンブ・ロワイヤル、ダルス、ワカメ。日本人に馴染み深い名前が、日本語そのままで使われていることにちょっと感激します。
ロランジェさんの説明は「コンブ・ロワイヤルはとても深い味わいを出すので、どんな使い方もできる。野菜のポタージュやシーフード料理で美味しさを底上げしてくれる」とのこと。試食してみると、昆布、実に昆布。日本では緑茶に入れたりします、といってみると、楽しそうにうなずいてくれました。
ダルスはブルターニュでは有名な赤い海藻。かなり深い所に生えているそうで、風味が豊か。古くから食べられてきたそうです。
そしてワカメ。コンブやダルスは天然物らしいのですが、ワカメはロランジェさんによって養殖されているとのこと。個人的には養殖するほどの安定供給が必要という事実に驚きです。ワカメはかなり塩気が強く、これを一体どのように料理に使うのかと聞いてみると、この海藻スパイスを使ったマスタードを試食させてくれました。マスタードの酸味の中にしっかりとした味わいの土台があって美味しい。海老や貝などの料理に合うとか。
日本人にとっては身近な海藻ですが、外国ではそれほどメジャーな食べ物であるとはいえません。しかしロランジェさん出身のブルターニュのように海と密接な関係を持つ文化ではこうした形で愛用されているわけで、日本と世界の共通点を感じて感慨深いものがあります。おいしいものはやはり万国共通なのだ、としみじみしながら、ロランジェさん謹製のカレー粉やマスタード、ガレットをお土産に帰宅したのでした。