中国初のSF大作

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‘’中国初のSF大作”として中国大陸で爆発的なヒットを記録している映画「流浪地球(The Wandering Earth)」。山西省出身のSF作家、劉慈欣氏の短編「さまよえる地球」を映画化した作品です。

自分も旧正月にさっそく鑑賞してきたのですが、注目は何と言っても特撮技術のレベルの高さ。約5000万ドル(約55億円)もの制作費を投じているので、それ相応の完成度に仕上がっているのは当然なのですが、そのほとんどを国内企業が制作しているという事実には驚かされました。

一方で、アメリカのSF映画、日本のSFアニメなどに慣れている自分には違和感を覚える箇所もいくつかありました。まず、宇宙を舞台にしたストーリーであるにも関わらず、登場人物のほとんどがモンゴロイド系であること。中には白人や黒人の出演者も混ざってはいるのですが、ほとんど存在感はなく、基本、最初から最後までモンゴロイド系俳優にスポットライトが当たっているので、「宇宙が舞台=人種のミックス」という勝手な思い込みが覆され、何となく落ち着きませんでした(笑)。

もうひとつは、ストーリー展開が早すぎること。せっかく面白い題材を映画にしているのだから、地球人が置かれている過酷な状況などについてもう少し詳しく説明して欲しかったですね。“スピーディーな展開”は中国映画だけでなく、世界の傾向とも言えるので、仕方がないとも言えますが。原作が短編小説というのもあるでしょう。

いずれにせよ、SF好きの自分からしてみれば、中国からも面白いSF映画が登場したことは大歓迎です。アメリカ視点ではなく、中国視点のSF映画が登場したという意味で、大きな意味があります。今後はロシア視点、インド視点など、数ある宇宙大国の様々な視点に基づいたSF映画の登場を期待したいですね。

あと、劉慈欣氏のSF小説と言えば「三体」が有名ですが、こちらは今夏、早川書房より日本語版が刊行されることが決定しました! 知り合いのSF好き中国人が絶賛している作品なので、早く読みたくてウズウズしております。ちなみに、「三体」は三部作でかなりのボリュームなので、映画化へのハードルは高そう。ちょうど1年ぐらい前に、アマゾンがドラマ化プロジェクトを進めているという記事を目にしましたが、「三体」は映画よりもドラマのほうが適していそうです。

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